いつの間にか陽がさしてきて、それが正面から右の窓に移り、8時34分山川着。お世話になった指宿ゆきと別れ、ここで8時53分発の普通列車鹿児島中央ゆきに乗り移る。指宿ゆきと同種の国鉄型ディーゼルカーを四両も連ねた、列車らしい出で立ちの鹿児島中央ゆきは二駅舎に面したホームに既に横付けされていたが、まだ時間があるので改札を抜け駅前広場に出てみる。いかにも薩摩隼人といった面持ちの頑固そうな怒り顔(?)が逞しい初老の駅員氏が私の持つ「枕崎→稚内」と記された乗車券を見て、「えっ!稚内まで行かれるの。
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すごいね!」と、声を出したが、そうおっしゃられても返す言葉がない。山川の駅は、火山の火口跡が海とつながって出来たと伝えられる山川港の入江と背後の切り立った崖に挟まれた窮屈な土地にある。広場に立てば朝の潮風が心地よい。白っぽく角張った無味乾燥な駅舎の人目横には、「日本最南端の有人駅」と記された標柱が立っている。今日は、朝から最南端の標柱を三本も見てきたことになる。鹿児島中央ゆき普通列車は、定刻に山川の駅を発車した。四両連結なので車掌も乗っており、列車らしい肉声の車内放送が繰り返される。乗客は一両に二、三人といったところだろうか。空は快晴に変わっている。港が火口跡というだけに、このあたりは温泉の宝庫で、次の指宿で温泉旅館の建物をいくつも見て、しばらく行くと、フェニックス他の苗木畑と白ぼけた民家とパームツリーなど亜熱帯植物の並木が入り混じった海岸線に出た。思わず眼が右の窓に釘付けとなる。